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GL-06 / LIQUEFACTION

液状化リスク評価とAI予測
指標と公表事例を読む

FL値・PL値などの指標、国土交通省の手引き、能登半島地震の調査速報、AIによる地盤推定の公表事例を整理します。

地震のあとの住宅街の道路にあふれ出た砂と水、傾いた電柱が写る、曇り空の下の被災地の様子

最終更新日:

本ページは液状化リスクの指標と公表資料の整理であり、個別の土地の液状化の可能性を判断するものではありません。個別の判断は、地盤調査会社や設計者などの専門家に確認してください。

液状化の仕組み:砂の地盤と地下水と強い揺れ

液状化は、地下水位が高く、ゆるく堆積した砂の地盤が、地震の強い揺れを受けることで起こる現象です。ふだんは砂の粒どうしがかみ合い、地盤は荷重を支えています。ところが、強い揺れが繰り返されると、粒のかみ合いが崩れて、砂が水に浮いたような状態になり、地盤が液体のように振る舞います。その結果、地面から砂混じりの水が噴き出す「噴砂」、建物や電柱の傾き、地中の埋設物の浮き上がり、地盤の側方への流れなどが起こります。

起こりやすい土地には傾向があります。海岸や河川沿いの埋立地、旧河道、砂丘と干拓地の境界のような地形で、地下水位が浅く、緩い砂が堆積している場所です。国土技術政策総合研究所の調査速報でも、過去に液状化が発生した地域として知られる微地形区分が、被害の読み取りの手がかりとして挙げられています。ただし、同じ地形でも、土地の細かな条件によって被害の程度が変わるため、地形だけで個々の宅地の危険度を断定することはできません。

液状化は、建物自体が壊れなくても、基礎の沈下や傾きによって住めなくなる被害をもたらす点で、住宅にとって深刻な問題です。能登半島地震の調査速報でも、住宅などへの大きな被害が報告されました。そのため、事前に地盤の特性を知ることが、備えの出発点になります。

FL値とPL値:液状化の可能性を数字で表す

液状化の可能性を判断する方法として、広く使われているのが、FL値とPL値です。FL値は、液状化の対象となる層ごとに、液状化に対する抵抗力と、地震によって生じる力の強さを比べて求める、抵抗率を表す指標です。一般に、FL値が1.0を下回る層は、液状化すると見なされます。PL値は、このFL値を深さ方向に重みをつけて積分した指標で、液状化の激しさや、地盤全体としての危険度を表します。

PL値による危険度の判定区分は、岩崎らの研究(1980年)に基づくものがよく用いられ、自治体の資料では、PLが0のとき極めて低い、0を超えて5以下のとき低い、5を超えて15以下のときやや高い、15を超えるとき高い、と区分されています。香川県の例では、道路橋示方書・同解説(2017年11月版)による手法でPL値を求め、4段階に分けた危険度の分布図を作成したと説明されています。

PL値の範囲液状化の可能性の区分(自治体資料の例)
PL = 0極めて低い
0 < PL ≦ 5低い
5 < PL ≦ 15やや高い
PL > 15高い

2026年10月時点、自治体の公表資料(岩崎ほか1980に基づく区分)に基づく。最新の区分や適用は、各自治体の資料で確認してください。

FL値やPL値を求めるには、標準貫入試験のN値と、土の粒度(細かい粒の割合)、地下水位の情報が必要です。国土交通省の宅地向けの技術指針に関する資料では、道路橋示方書の液状化判定手法を基本としつつ、判定手法を明示する必要があるとされています。戸建住宅では、サウンディング試験に土質試料の採取と試験を加えて判定する方法が使われ、埼玉県の案内では、その費用の目安が約10万円とされています。

国土交通省の液状化ハザードマップ作成の手引き

国土交通省は、「リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引き」を公表し、地方公共団体が液状化ハザードマップを作る方法と活用方法を示しています。専門家による検討委員会の助言を受けてまとめられたもので、本編は令和3年2月に更新され、令和6年能登半島地震の液状化被害の実態を踏まえた補足資料が、令和7年3月に更新されています。

手引きの目的は、宅地の液状化被害を減らすため、住民・事業者と行政が、地域の液状化の傾向や宅地の被害リスクについて情報を共有し、認識を深める、リスクコミュニケーションを図ることです。構成は、目的及び概要、作成準備、地域の液状化発生傾向図の作成、宅地の液状化危険度マップの作成、液状化ハザードマップの作成、周知・活用方法の6章からなります。まず地域全体の発生傾向を把握し、次に宅地ごとの危険度を評価し、最後に住民に伝える形にまとめる、という流れです。補足資料では、微地形情報と地盤情報を組み合わせた「液状化危険度統合マップ」の作成方法が示されています。

ここで重要なのは、地形に基づく傾向図と、地盤調査に基づく危険度マップを段階的に組み合わせている点です。地形だけでは細かな地盤の違いを捉えきれず、柱状図などの地盤情報だけでは、データのない場所が空白になります。両方を使うことで、お互いの弱点を補う設計になっています。具体的な計算手順や評価の基準は、詳細資料編に記載されています。

令和6年能登半島地震の液状化被害と公表資料

2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6)では、石川県、富山県、新潟県などで液状化による被害が報告されました。国土技術政策総合研究所と建築研究所は、国土交通省住宅局や石川県の要請を受け、建築物の基礎・地盤被害について現地調査を行い、2024年2月14日に速報を公表しました(その後、2024年10月17日に修正)。速報の知見として、次の点が示されています。

  • 内灘町・かほく市では、県道8号沿いの全長約7kmの広い範囲にわたって、液状化による地盤変状と、住宅等への大きな被害が生じた。
  • 被害が生じた地域は、砂丘と干拓地の境界部に位置し、過去の液状化発生地域として知られる微地形区分と同じような地形であった。
  • 金沢市の造成宅地では、外周道路の外側で斜面崩壊が確認され、住宅が斜面の下方に大きく移動していた。
  • 輪島市では、地上7階建ての鉄筋コンクリート造の建物が転倒し、基礎の東側は3m以上沈下していた。この大きな沈下の要因は、現時点では明らかでなく、今後の詳細な調査や分析が必要とされた。

これらの記述は、学術的な現地調査によるもので、自治体が発行する罹災証明の全壊・半壊の判断とは関係しないことが、報告書に注記されています。内灘町・かほく市の例は、微地形区分が液状化の発生傾向を読む手がかりになることを示しています。同時に、液状化以外の要因(造成地の斜面崩壊、輪島市の建物の転倒)による被害もあり、地盤災害を一つの指標だけで語ることの難しさも示しています。国土交通省の手引きの補足資料が、この地震の被害の実態を踏まえて更新された点も、押さえておきたい事実です。

AIによる地盤推定の研究・公表事例

ボーリング柱状図や住宅地盤の調査データが蓄積されたことで、AIを使って未調査の地点の地盤を推定する試みが、研究機関と民間の双方で公表されています。公式な発表で確認できたものを整理します。

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芝浦工業大学:ボーリングデータと人工ニューラルネットワーク

芝浦工業大学の稲積真哉教授らの研究チームは、13,926件のボーリングデータと人工ニューラルネットワーク(ANN)を組み合わせ、未調査地点の土質やN値を予測し、そこから液状化ポテンシャルの指標を算出する手法を開発しました。東京(首都圏)を対象に、200メートル格子の予測を行い、江東区などの高リスク地域も示しています。成果は国際誌「Results in Engineering」第28巻に掲載され、オンライン公開は2025年9月12日、プレスリリースは2025年9月30日でした。研究段階の成果であり、実際の宅地の判断に使うものではないことには注意が必要です。

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ジャパンホームシールド:AI地盤予測サービス「地盤サポートマップPro2」

同社は2025年4月23日に、住所などの位置情報から、地盤の強さ、軟弱層(腐植土)の有無、地盤改良工法、地盤改良工事の概算費用、SWS試験の結果の予測と硬い支持層の深度を予測するAIサービスを発表しました。住所の入力のみで、1~3分でレポートが出力されるとされ、2025年3月に地盤AI推論モデルの特許を取得したと記載されています。提供対象は住宅事業者向けで、概算見積りや土地仕入れの判断材料として使えるとされています。学習データの具体的な内容は、公表資料には明記されていません。

AI予測を読むときの注意

AIによる予測は、周辺の調査データから統計的に推定した結果であり、その地点の実際の地盤を測定したものではありません。住宅の設計や地盤改良の判断では、実際の調査結果が優先されます。予測が当たる地域とそうでない地域があること、データの少ない地域では精度が下がること、新たに造成された土地では過去のデータが当てはまらないことが、基本的な限界です。AIはあくまで、調査の計画や概算の検討を助ける道具として位置づけられています。

戸建住宅の液状化対策:公表資料から読み取れる範囲

埼玉県の案内では、戸建住宅の液状化対策として、既存の地盤調査結果や現地の目視確認、必要に応じた追加調査、液状化判定、地盤改良の検討という流れが示されています。地盤調査と液状化判定は、主に地質調査会社が実施するとされ、複数の業者に相談して見積りを比較することも案内されています。建物の形状をバランスよくし、屋根に軽い材料を使うなど、建物の重さを軽くする工夫や、地震保険の加入の検討も、対策の一つとして挙げられています。

住宅の液状化対策には、事前に効果を確かめにくいという難しさがあります。千葉県の資料は、液状化対策は効果の確認が震災後にしかできず、費用対効果が不明瞭でコストも高いため、実施が進みにくいと説明しています。このため、まず自分の土地がどのような地盤にあるのかを、ハザードマップや地盤情報サービス、調査で確認することが、備えの出発点になります。工法の種類と費用の構造は、次のページで整理しています。

一次情報の確認先

本ページで参照した官公庁・業界団体・各社公式サイトの一次情報です。数値や制度は更新されるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

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本サイトは地盤調査・地質調査業界を公開情報から整理したものであり、個別の土地の地盤評価や工法選定の助言ではありません。調査費用・期間は条件により大きく異なります。建築・造成の判断は地盤調査会社・建築士等の専門家にご確認ください。