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GL-05 / DATA

柱状図データ化と
地盤情報データベースの現在地

紙や図面で保管されてきたボーリング柱状図が、電子納品とデータベースでどう流通し始めたのかを整理します。

地質断面と柱状図のデータを映したモニターと、コアサンプルの箱が置かれた明るいオフィスの机

最終更新日:

件数や公開状況は、各公式サイトに記載の時点のものです。データベースの仕様や公開範囲は変更されるため、利用の際は提供元の最新の案内と利用規約を確認してください。

ボーリング柱状図とは:1本の孔から読み取れる情報

ボーリング柱状図は、1本のボーリング孔について、深さごとの地層の区分、土質や岩質、色調、含まれる物の特徴、標準貫入試験のN値、孔内の水位、試料採取の位置などを、縦長の1枚の図表にまとめた成果物です。地面の下の様子を、深さを縦軸にして一覧できるため、地盤の構成を短時間で把握でき、設計者や施工者、行政が最初に確認する資料になります。調査会社にとっては、現場で得た情報を第三者に伝えるための、共通の書式でもあります。

柱状図に記載される情報は、現場の技術者が試料を観察して決めた記載(土質名、色、湿り具合、硬さなど)と、試験で得られた数値(N値、水位など)が混在しています。そのため、同じ層でも、記載する技術者によって表現に差が出る場合があります。全地連がボーリング柱状図の作成の要領を公表しているのは、こうした記載のばらつきを抑え、誰が読んでも同じ意味に解釈できるようにするためです。

1本の柱状図が示すのは、その孔の位置の情報だけです。調査地点の間の地盤は、複数の柱状図を並べ、地形や地質の知識を使って補います。データベースに多数の柱状図が集まると、この「補い方」の精度が上がり、地盤を面や立体で捉える試みへとつながります。AIによる地盤の推定も、大量の柱状図の蓄積を前提にしています。

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国土地盤情報検索サイト KuniJiban

KuniJiban(国土地盤情報検索サイト)は、国土交通省の道路・河川・港湾事業などで行われた地質・土質調査の成果を、無償で検索・閲覧できるサイトです。2008年3月28日に運用を開始し、国土交通省、国立研究開発法人土木研究所、国立研究開発法人港湾空港技術研究所が共同で運営し、土木研究所が管理しています。公開されているデータは、ボーリング柱状図、土質試験結果一覧表、土性図などです。

公式サイトによると、2026年9月18日時点のボーリング柱状図の公開数は、地域別に次のとおりです。合計は、約22万件になります(約表記の合算による概算です)。

地域(提供機関)ボーリング柱状図の公開数(約)
北海道開発局21,800件
東北地方整備局22,800件
関東地方整備局26,300件
北陸地方整備局13,200件
中部地方整備局21,900件
近畿地方整備局23,200件
中国地方整備局29,300件
四国地方整備局11,300件
九州地方整備局38,700件
内閣府沖縄総合事務局3,600件
その他8,600件

2026年10月時点、KuniJiban公式サイトの掲載(2026年9月18日時点の公開数)に基づく。最新情報は公式サイトで確認してください。

利用上の注意として、公式サイトには次の点が記載されています。2018年8月から、国土地盤情報センターによる地盤情報の検定が始まりましたが、現在公開されているのは未検定のデータのみで、今後は検定済みのデータを公開する予定とされています。また、2023年9月29日付で、IDが「B4KJ2022」で始まるボーリングについて、異なる場所のデータが表示される場合があるとして、該当する土質試験結果の公開を停止しており、復旧の見通しは立っていないと案内されています。公開データを使う際には、こうした注意書きを読んだうえで、必要に応じて、元の調査報告書や発注者に確認することが重要です。

電子納品要領とXML:柱状図が「データ」になる仕組み

柱状図をデータベースに集める前提になっているのが、電子納品の制度です。国土交通省は、地質・土質調査の成果を電子で納品するための「地質・土質調査成果電子納品要領」を定めており、平成28年(2016年)10月27日の改定は、平成29年4月以降に契約を締結する直轄工事・業務に適用されています。ボーリング柱状図の電子成果品は、ボーリング交換用データ(XMLファイル)、電子柱状図(PDFファイル)、電子簡略柱状図(CADファイル)の三つで構成されます。

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XMLのボーリング交換用データは、深さ、地層の区分、土質名、N値などの項目が、決められた書式で記録されたファイルです。人が読む図面と違い、コンピュータが項目ごとに読み取れるため、多数の柱状図を集めて検索したり、断面図を自動で作成したりできます。自治体の特記仕様書には、受注者がボーリング柱状図などを一般財団法人国土地盤情報センターの検定を受けたうえで、国土地盤情報データベースに登録する旨を定めた例があります。検定は、データの形式や記載内容を確認する仕組みで、データベースの品質を保つ役割を担っています。

電子納品によって、これまで調査会社や発注者の書庫に眠っていた情報が、データとして流通しやすくなりました。一方で、古い時代の紙の柱状図をデータ化する作業は、手作業の入力や読み取りを伴うため、地域や年代によって、データの充実度に差が残ります。データ化の対象を、どの年代まで広げるかは、データベースごとの課題です。

防災科研のJ-SHISと、自治体の地盤情報

公共のデータベースには、柱状図そのものを公開するもののほか、地形や地盤の分類を地図上で示すものがあります。防災科学技術研究所が運営する地震ハザードステーション(J-SHIS)は、そのひとつです。公式サイトには、地形・地盤分類250mメッシュマップ(2020年更新版)、2020年版の表層地盤データ、浅部・深部統合地盤構造モデルなどが掲載されています。統合地盤構造モデルについては、2026年9月25日に熊本地方のデータが公開されたことが、トップページに案内されています。

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こうした地盤の分類データは、地震時の揺れやすさの評価や、ハザードマップの作成に使われます。ボーリング柱状図のように地点ごとの詳細な情報ではなく、地形から推定した地盤の特性を面的に示すもので、役割が異なります。自治体でも、道路や河川の工事で得た柱状図を、地図上で閲覧できるようにしているところがあります。ただし、公開の範囲や形式は自治体ごとに違うため、調べたい地域の自治体や都道府県の案内を確認する必要があります。

民間の地盤情報サービス

民間の事業者も、自社で蓄積した調査データを、地図の形で提供しています。比較表のページで取り上げたプレイヤーのうち、公式サイトで確認できたサービスを整理します。

ジャパンホームシールドの地盤サポートマップ

地盤サポートマップは、地震時の揺れやすさ、洪水・浸水リスク、地盤の強さ(地耐力)、年代ごとの航空写真、防災情報、生活情報を地図上で確認できる無料のサービスで、利用に登録は不要です。地盤の強さの情報は、同社が持つ250万を超える地盤解析の実績に基づくとされています。洪水浸水想定区域は国や県が指定した河川のデータで、浸水区域外の表示が浸水リスクのないことを意味しない旨も、公式サイトに明記されています。一部のエリアには情報がない点にも注意が必要です。2026年4月15日には、東京都が運営する「液状化対策東京コンソーシアム特設サイト」との連携が始まったと発表されています。

地盤ネットの地盤安心マップR

地盤ネットの公式サイトには、地質や災害履歴を確認できる「地盤安心マップR」が掲載されています。同社は、改良工事を受注しない形のサービスや、地盤セカンドオピニオンの商品名を並べており、地盤データの提供が、調査・解析のサービスと一体で展開されている様子が分かります。

ビイックの全国地盤サーチ GAIA

ビイックの公式サイトには、全国地盤サーチ GAIA が、調査機器や地震波耐震計測などと並ぶ事業の一つとして記載されています。仕様の詳細は公式サイトで確認が必要です。

応用地質の保有地盤データ

応用地質は、公式サイトで約35万地点の地盤データを保有していると記載しています。保有するデータの利用形態や提供サービスは、情報サービス製品として案内されています。

データ利活用で押さえておきたい五つの論点

柱状図や地盤データが増えることは、防災や都市計画、建設の効率化に役立つ一方で、利用の際に確認すべき点も増えます。実務で押さえておきたい論点を整理します。

  1. データの品質と検定KuniJibanの公式サイトは、公開中のデータが未検定であることを明記しています。検定の有無で信頼性の前提が変わります。
  2. 位置と時点の精度柱状図の位置情報の精度や、調査後に造成や盛土が行われたかどうかで、現在の地盤との差が出る場合があります。
  3. 密度の偏り調査は、公共事業の路線や開発の多い地域に集中します。データの少ない地域では、推定の精度が下がります。
  4. 権利と利用条件データの提供元ごとに、利用規約や二次利用の条件が異なります。商用利用や再配布の可否を確認する必要があります。
  5. 他のデータとの突合地形、地下水、浸水想定などの別のデータと組み合わせると新しい見方ができますが、出典ごとの時点の違いに注意が必要です。

これらの論点は、調査会社だけでなく、データを使うすべての人に関わります。次のページで扱う液状化リスクの評価や、AIによる地盤の推定も、データの質と量に大きく左右されます。データを入口として、「何をどこまで信頼できるのか」を確認する習慣が、利活用の前提になります。

一次情報の確認先

本ページで参照した官公庁・業界団体・各社公式サイトの一次情報です。数値や制度は更新されるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

本サイトは地盤調査・地質調査業界を公開情報から整理したものであり、個別の土地の地盤評価や工法選定の助言ではありません。調査費用・期間は条件により大きく異なります。建築・造成の判断は地盤調査会社・建築士等の専門家にご確認ください。