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地盤調査報告書816件の不正発覚が問う、住宅の安全を支えるデータの信頼性と確認の仕組み

地盤調査報告書816件の不正発覚が問う、住宅の安全を支えるデータの信頼性と確認の仕組みのイメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・工法・サービスの推奨や、個別の土地に関する助言ではありません。

ニュースの概要

日経クロステックの報道によると、地盤調査報告書816件で不正が見つかった。地盤調査は、家を建てる前に地面の強さを調べ、基礎の設計や地盤改良工事の要否を決めるための作業である。その報告書に不正があったということは、建物の安全を考える出発点のデータそのものが信用できなくなったことを意味する。現時点で確実に言えるのは、報道された件数という事実が中心であり、具体的な手口や影響を受ける建物の範囲は今後の調査で明らかになる部分が多い。本稿では、この件数を出発点に、なぜこの種の不正が起きやすいのか、発注する側は何を確かめておくべきかを考える。

引用元: 地盤調査報告書816件で不正発覚(日経クロステック)

分析・見解

816件は個人の逸脱では済まない規模である

816件という数は、担当者一人のうっかりや出来心では説明しにくい。同じ手口が繰り返されたか、確認の仕組みが長く見逃してきたと考えるのが自然である。

建築分野では2015年、杭工事の施工データが流用され、横浜のマンションが傾いた問題が起きた。あのときに問われたのは、現場の個人だけではなかった。データを誰がどう確かめていたのかという、仕組みの側であった。今回も、不正をした人を探すことと、見逃した仕組みを直すことは、分けて考える必要がある。

戸建ての地盤調査は不正が入り込みやすい現場

戸建て住宅では、スウェーデン式サウンディング試験(=先端がねじ状の鉄の棒を地面に回し込み、沈み方で硬さを測る方法)が広く使われている。1棟あたり数カ所を測り、作業は半日ほどで終わる。調査費は数万円程度と安く、利幅は小さい。現場は一人か二人で回すことが多く、測っている最中の様子を第三者が見ることはほとんどない。

ここに金銭の動機が重なる。地盤が弱いと判定されれば、地盤改良工事が必要になり、施主の負担は数十万円から百万円を超えることもある。悪い数値を良く見せたい側にも、改良工事の受注につなげたい側にも、数字を動かす理由が生まれる。報告書を書く側と工事を請ける側が近いほど、利害はねじれやすい。

機械の記録で防げる部分と、人の目が要る部分

最近の測定機は、位置情報、時刻、写真を自動で残せる。後から書き換えにくくなり、同じ時刻に離れた二地点で測ったような矛盾も見つけやすい。技術で防げる不正は確かに増えた。

ただし、機械を現場に持ち込まず机の上で数字を作る行為は防げても、現場で測ったことにして別の地点の値を写す手口までは止められない。そこで効くのが、グラフの形を見る習慣である。本物の測定値は地層の変化を反映して不規則に揺れる。写した値は不自然にそろいやすい。この違いは、ソフトによる自動チェックでも、慣れた技術者の目でも見分けられる。

今後は調査の独立性と第三者確認が焦点になる

住宅には10年間の瑕疵(=欠陥)への備えが義務づけられており、保険や保証の審査にも地盤調査のデータが使われる。つまり、保険も保証も、入口のデータが正しいことを前提に成り立っている。入口が揺らげば、その後の仕組みが全部揺らぐ。

地盤調査業には、建築士のような業としての免許制度が整っているとは言いにくい。今後は、報告書の様式の統一、原データの保存義務、調査と工事の担当を分ける運用などが議論になる可能性が高い。信頼は看板では保てず、検証できる形で示す時代に入る。

ビジネスへの影響

調査を頼む前に確かめたい三つの点

住宅会社や不動産の発注担当者は、まず次の三点を確認したい。第一に、調査会社が改良工事を受注する関係にないか。第二に、測定機の自動記録(位置、時刻、写真)を提出できるか。第三に、原データを何年保管するか。この三つを発注の条件にするだけでも、不正の入り込む余地は大きく減る。費用は数千円から1万円程度上がるかもしれないが、後の補修や訴訟の費用に比べれば小さい。

過去の報告書を洗い直す作業の進め方

自社が過去に扱った物件の報告書も、点検の対象になる。全件を一度に調べるのは現実的でないため、同じ調査会社、同じ担当者、同じ時期のものから順に、グラフの形と写真を見比べるとよい。測定値がきれいにそろいすぎている、写真の撮影時刻が前後していると感じた報告書は、再調査の候補にする。再調査の費用は、将来の不同沈下(=建物が不揃いに沈むこと)の補修に比べて桁違いに安い。

不正が疑われたときの説明と記録の残し方

疑いが出たら、物件の引き渡し済みかどうかで対応が分かれる。未着工なら再調査で足りる。引き渡し済みなら、施主への早めの連絡が最優先である。隠していた期間が長いほど、信頼の損失は大きくなる。連絡の日時、調査会社とのやり取り、再調査の結果は、すべて文書で残しておく。

今回の件は、特定の会社だけの問題として片づけると、同じことが別の場所で起きる。自社の発注の仕組みに隙がないかを点検する機会として使うのが、最も実務的な受け止め方である。

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本サイトは地盤調査・地質調査業界を公開情報から整理したものであり、個別の土地の地盤評価や工法選定の助言ではありません。調査費用・期間は条件により大きく異なります。建築・造成の判断は地盤調査会社・建築士等の専門家にご確認ください。